【伊号第十二潜水艦】(巡潜甲型改一)

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基準排水量2,390t
水中排水量4,762t
一番艦竣工日伊号第十二潜水艦
昭和19年/1944年5月25日
同型艦1隻
全 長113.70m
最大幅9.55m
主 機艦本式22号10型ディーゼル(過給器付き) 2基2軸
最大速度水上 17.7ノット
水中 6.2ノット
航続距離水上 16ノット:22,000海里
水中 3ノット:75海里
馬 力水上 4,700馬力
水中 1,200馬力

装 備 一 覧

備 砲40口径14cm単装砲 1基1門
25mm連装機銃 2基4挺
魚雷/その他兵装艦首:53cm魚雷発射管 6門
搭載魚雷 18本
航空兵装水上機 1機
呉式1号4型射出機 1基
九三式探信儀 1基

九三式聴音機 1基
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少しでも早く建造を 太平洋戦争は巡潜旗艦型を求めていない

開戦前、日本は決して豊富とは言えない戦力をどれだけ有効に使えるかが鍵でした。
そのためには1隻で数隻分の働きをする船の建造と、1隻で数隻分の働きができるようにする運用の確保が不可欠でした。
潜水艦においてはそれが「海大型」「巡潜型」であり、そして「巡潜型」は潜水戦隊旗艦を務めることができる「甲型」を筆頭とした戦隊運用が計画されました。

その中でまずは日本が考える戦い方に基づいた建艦計画が立てられますが(「マル3・マル4計画」)、やがて戦況の変化によってこの評価は一変し、全く持って足りてないということになるのですが、それに気づいたのは開戦から半年以上経った、「ガダルカナル島の戦い」の勃発後でした。
日本が初めて制空権を失ったガダルカナル島周辺での戦いは、輸送という任務の重要性と危険性を如実に表す戦いで、日本は水上戦ではトータルで見るとそこそこ踏ん張りはしたものの、輸送と陸上戦、陸上部隊への補給面では壊滅的被害を負いました。

この輸送困難な事態に陥って、日本は苦し紛れに駆逐艦による鼠輸送、潜水艦によるモグラ輸送を実施。
しかし鼠輸送は空襲を、モグラ輸送は爆雷攻撃を受けるのは輸送船団と同じです。
到達率は上がっても輸送量は半分以下になっているこの輸送だけでは到底陸軍を支えることはできませんでした。

そしてこのモグラ輸送で、潜水艦の被害は露骨に増えました。
海軍にしてみれば、建造の目的とは全く異なる輸送運用で潜水艦を失っている事態は腹立たしかったでしょう。
しかしこうでもしなければ輸送できない現状は変わることがありません。
失わないようにするのは当然ながら、補充する必要が出てきました。
それも極めて早急に。

その流れで昭和16年/1941年の「マル追計画」で建造予定だった「甲型」の追加の1隻の設計を、早期建造が可能なように変更されることが決まります。
と言っても線を引き直す余裕はありません、「甲型改一」とも呼ばれる【伊12】と他の「甲型」の違いは搭載ディーゼルの違いだけです(搭載燃料増による航続距離延長もありますが)。

「甲型」で搭載さ入れている艦本式2号甲10型ディーゼルは、高出力ではありましたがとにかく精密で製造に時間がかかりました。
そのため、やがて日本の汎用ディーゼル機関となる22号10型ディーゼルに置き換えることで、時間短縮を図りました。
ですがもちろん出力は低下し、「甲型」の水上12,400馬力に対して4,700馬力と4割弱まで落ちてしまいました。
「甲型」はとにかく水上23.5ノットが目標だったため、ここまでの大出力ディーゼルが必要でしたが、船の速度よりも建造の速度を優先するためにはここに手を加えるしかなかったのです。

とは言ったものの、起工が1942年11月の船がポンと出来上がるほど工期が短縮されたわけではありません。
結局竣工までに1年半かかり、その間に日本がどんな事態に陥っていたかは今更語るまでもないでしょう。
「甲型」でなければならない任務はもう存在しない状態ですから、当然【伊12】は旗艦任務ではなく通商破壊作戦に従事することになります。

しかし【伊12】の戦果はたった1隻の撃沈、戦時標準船と呼ばれる急造貨物船であった【ジョン・A・ジョンソン】を撃沈したに留まります。
【伊12】の戦果が乏しいというよりかは、すでにサイパン陥落が目前となっていた時期に竣工した潜水艦の活躍の場は少なかったと言ったほうがいいでしょう。
輸送船団も護衛艦ががっちり守っていて、沈めるよりも沈む確率がはるかに高い時期でした。

なお、帆船【パミール号】に対しての、「本艦は貴船の美しさを葬るに忍びず、安全なる航海を祈る」という信号と共に攻撃をせずに去っていったという物語についてですが、紹介したい気持ちはやまやまなのですが、あまりにも情報や時期がぐちゃぐちゃで、しかもホントかウソかも不明なのでこちらでは自重させていただきます。
【伊12】の沈没認定は昭和20年/1945年1月31日ですが、あくまで認定。
それ以前にどこかで沈んでいるのは確実ですが、それが全く不明なのがこの物語をより謎めかせています。

お調べになりたい方は「伊12 パミール号」で検索していただければいくつか情報を見ることができると思いますので是非。