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『綾波型(特Ⅱ型)駆逐艦』
【Ayanami-class destroyer】

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艦型と個艦の説明を分けましたが、単純に分割しただけなので表現に違和感が残っていると思います。
基準排水量1,680t
垂線間長112.00m
全 幅10.36m
最大速度38.0ノット
馬 力50,000馬力
主 砲50口径12.7cm連装砲 3基6門
魚 雷61cm三連装魚雷発射管 3基9門
機 銃7.7mm単装機銃 2基2挺
缶・主機ロ号艦本式ボイラー 4基
艦本式ギアード・タービン 2基2軸


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特型駆逐艦から兵装強化 特Ⅱ型は重火力型

「吹雪型」の建造が始まって早2年、しかし増備が進んでいるうちに、兵装などもより性能が向上していきました。
それに伴い、「吹雪型」のスタイルでの特型駆逐艦は【浦波】を最後とし、新たに設計・兵装強化された「特Ⅱ型・綾波型」と改められて建造が再開します。
【綾波】はその一番艦で、10隻在籍する「綾波型」の長女として誕生します。

「綾波型」になって変更された点は、1つは煙突の形状と【浦波】でも行われた吸気口の改善です。
「吹雪型」の吸気口は「キセル型」という形状で、1番煙突の両脇と2番煙突の後ろ、いずれも後ろ向きに設置されていました。
しかしここに配置すると、荒波の中高速で航行するとどうしても海水が飛び込んでしまい、缶に不純物が入り込む状態となっていました。
そこで「綾波型」ではその吸気口を煙突基部に配置し、さらに形状も「おわん型」へ変更。
これによって海水が入り込む可能性が激減し、さらに予熱効果が副次的に現れたこともあり、この形状は一気に浸透。
以後の駆逐艦はほぼこのスタイルが維持されるようになりました。

出典:『軍艦雑記帳 上下巻』タミヤ

そしてもう1つが、砲撃力の向上です。
主砲は12.7cm連装砲A型から12.7cm連装砲B型へ変更。
このB型が見事な上位互換となっていました。

A型では仰角が40度ほどで、基本的には対空砲としての役割は持っていません。
しかしB型はその仰角を75度にまで向上させ、高角砲としても使えるような構造となりました。
B型~D型に関しては大幅な変化はないのですが、A型とB型については外観も機構も様変わりしています。
時期的には「高雄型」の20.3cm連装砲が仰角70度となったE型を搭載した時と被りますので、高角砲や機銃を満載できない事情から主砲を高角砲代わりに使えるような動きが活発化していました。
砲弾装填の時は仰角を戻さねばならない欠点はありましたが(もともと高角砲ではないので)、それでも武器が増えたことには変わりない、とたぶん当時の人たちは考えたのだと思います。

また、地味ですが二本の砲身を独立俯仰角方式へと変更し、一方は平射、一方は高射という使い分けができるようにもなっています。
ただし1基当たりの重量は5.6tも増してしまい、3基ですから主砲だけで16.8tも重くなっています。
さらに日本の高仰角砲はいずれも実用性に乏しく、このB型も結局高角砲としての役割を果たすことはありませんでした。
なにせ高角砲のくせに発射速度が4発/分です。
当然この速度は連携や腕次第ですから、まぁだいたい1分間に2~3発でしょう。

ですがこのB型をベースとして八九式12.7cm連装高角砲が開発され、日本の高角砲の標準となったことから誕生する意味はありました。
当然平射も可能であることから、戦時設計の「丁型駆逐艦」ではこの高角砲が主砲にもなっています。

出典:『軍艦雑記帳 上下巻』タミヤ

砲撃力強化には、主砲の性能向上だけでなく設備面でのサポートも含まれます。
駆逐艦にしては大きい艦橋が特徴的な「特型」ですが、「綾波型」には新たに魚雷発射発令所、射撃指揮所、方位盤標準装置が設置されました。
外観は丸型だった「吹雪型」に比べて多少角ばった個所が増えています。
こうしてより攻撃力と設備が強力になった「綾波型」ですが、主砲と艦橋の重量が増したことで艦のバランスは不安定になり、徐々に日本の駆逐艦を苦しめていくこととなります。

出典:『軍艦雑記帳 上下巻』タミヤ

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