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【波二百一型潜水艦】(潜高小型)

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基準排水量 320t
水中排水量 440t
一番艦竣工日 波号第二百一潜水艦
昭和20年/1945年5月31日
同型艦 10隻竣工、32隻未成
全 長 53.00m
最大幅 4.00m
主 機 中速ディーゼル 1基1軸
最大速度 水上 10.5ノット
水中 13.0ノット
航続距離 水上 10ノット:3,000海里
水中 2ノット:100海里
馬 力 水上 400馬力
水中 1,250馬力

装 備 一 覧

備 砲 7.7mm機銃 1挺
魚雷/その他兵装 艦首:53cm魚雷発射管 2門
搭載魚雷 4本
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水中高速の潜高小型 早く造り、速く進め

潜水艦の理想、それは半永久的に、深い海中を、高速で進むこと。
原子力潜水艦や潜水艦の性能そのものの向上によって、これらの理想は今は現実のものとなっています。
しかし戦前戦中では、特に「半永久、深深度」という理想をかなえる技術は備わっていませんでした。
ならば、水中高速性能はどうか。
どこの国でもこの性能を追い求めて実験を行っていましたが、もちろん日本も例外ではありません。

日本は1932年から特殊潜航艇甲標的につながる実験が始まりました。
これは2人乗りの潜航艇で、艦首に魚雷発射管が2門ついている、小型で高速の潜航艇でした。
この甲標的開発のための試作艇を【A標的】と呼び、そしてこの実験結果をもとに新たに水中高速潜水艦の実験が行われたのです。
昭和12年/1937年に起工された【仮称第七十一潜水艦】、水中速度25ノットを目指した代物です。

最終的に【仮称第七十一潜水艦】は搭載予定のエンジンを入手できなかったために水中速度21.3ノットにまで落ちてしまいましたが、それでも諸外国の実用艦に比べると圧倒的な速さを誇りました。
最終的に【仮称第七十一潜水艦】は実験艦に留まり、1941年に解体はされますが、これらの実験結果はしっかりとのちの潜水艦に反映されています。
甲標的の改良にはもちろんですが、潜水艦では「伊二百一型潜水艦(潜高型)」、そして「波二百一型潜水艦(潜高小型)」が水中高速潜水艦として生を受けることになります。

「潜高小型」は文字通り「潜高型」の小型版ですが、日本の潜水艦で最も量産に向いた潜水艦として設計されます。
船体は手間をかけてでも抵抗軽減のために流線化されましたが、その一方で艤装の簡略化、ドイツの高張力鋼St52の導入と全面溶接、ブロック工法を駆使した造りとなっています。
性能はとにかく水中航行を優先し、水上速度はたったの10ノットですが、水中は中速ディーゼル1基1軸なのに13ノットが計画されました。
他にも運動性、操縦性、潜航速度など、徹底した水中活動能力の向上が求められました。

魚雷は2門4本と決して多くはありませんが、そもそも航続距離が全然ない小型潜水艦ですから、繰り返し攻撃をすることには向いていませんでした。
これはとにかく小型化大量生産を重視した結果で、複数案の中でも基準排水量320tは最も軽い大きさになります。
建造期間はわずか3ヶ月ですが、2ヶ月半ほどで竣工している艦も複数存在しています。

水中の操縦性は文句なし、さらに水上でも低速ではあっても安定感があった「潜高小型」は、【波201】の公試で関係者を大いに満足させました。
特に速度においては計画値よりも速い速度を発揮したようで(水上:13ノット、水中14.5ノット?)、戦争末期にあって本土決戦のために必ず必要とされ、特攻兵器の量産の隣で「潜高小型」の建造も急ピッチで進みました。
しかし本土決戦用ということは温存戦力ということで、海軍が最後に期待した「潜高小型」は竣工10隻全艦が実践投入されることなく母港で訓練を続けていました。

同 型 艦

波号第二百潜水艦 波号第二百一潜水艦 波号第二百二潜水艦
波号第二百三潜水艦 波号第二百四潜水艦 波号第二百五潜水艦
波号第二百六潜水艦(未成) 波号第二百七潜水艦 波号第二百八潜水艦
波号第二百九潜水艦

波号第二百十潜水艦

波号第二百十一潜水艦
(未成)
波号第二百十二潜水艦
(未成)
波号第二百十三潜水艦
(未成)
波号第二百十四潜水艦
(未成)
波号第二百十五潜水艦
(未成)
波号第二百十六潜水艦

波号第二百十七潜水艦
(未成)
以下 すべて未成
波号第二百十八潜水艦 波号第二百十九潜水艦 波号第二百二十潜水艦
波号第二百二十一潜水艦 波号第二百二十二潜水艦 波号第二百二十三潜水艦
波号第二百二十四潜水艦 波号第二百二十五潜水艦 波号第二百二十六潜水艦
波号第二百二十七潜水艦 波号第二百二十八潜水艦 波号第二百二十九潜水艦
波号第二百三十潜水艦 波号第二百三十一潜水艦 波号第二百三十二潜水艦
波号第二百三十潜水艦 波号第二百三十一潜水艦 波号第二百三十二潜水艦
他10隻 起工済み
潜水艦
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※1 当HPは全て敬称略としております(氏をつけるとテンポが悪いので)。

※2 各項における参考文献、引用文献などの情報を取りまとめる前にHPが肥大化したため、各項ごとにそれらを明記することができなくなってしまいました。
わかっている範囲のみ、各項に参考文献を表記しておりますが、勝手ながら今は各項の参考文献、引用文献をすべて【参考書籍・サイト】にてまとめております。
ご理解くださいますようお願いいたします。

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