【特設艦】とは、民間船を海軍が徴用し、軍事的に活用した艦である。
旧時代は軍艦も民間船も構造的に大きな違いがなかったため、徴用しても軽く武装を施すだけで軍艦として活用することができた。
しかし近代以降造船技術が発展すると、民間船と軍艦との差が大きくなったため、徴用後にもしっかりとした改造が必要となった。
それでも一から船を建造するよりかは遥かに短期間で運用できるため、海軍は徴用を続けた。
【特設艦】には航空母艦から巡洋艦、駆潜艇など、正式な軍艦などと同様の運用方法を目的とされた改造がされたが、もちろんあらゆる点で見劣りするために輸送や非戦闘地域での運用が主であった。
船員はその船の船員がそのまま徴用されることが多かったが、一般船員は軍属になる場合と別に、傭船契約を結ぶこともあった。
ただし、高級船員は海軍士官待遇で軍属となった。
【特設艦】はとにかく隻数が不足し続けた日本では無くてはならない存在となり、また戦前も「優秀船舶建造助成施設」など、徴用することを前提とした政策を打ち出していた。