大日本帝国海軍 所属艦艇・開発航空機

  • 帝国海軍トップ
    Top
  • 戦 艦
    Battleship
  • 航空母艦
    Aircraft Carrier
  • 重巡洋艦
    Heavy Cruiser
  • 軽巡洋艦
    Light Cruiser
  • 駆 逐 艦
    Destroyer
  • 航空機/飛行艇
    Aircraft
  • 潜 水 艦
    Submarine
  • その他の艦船
    Other Ships
  • 写 真
    Photo
  • 太平洋戦争の用語
  • 海 戦
  • 大日本帝国陸軍 近日公開
  • 参考書籍・サイト



大日本帝国海軍 所属艦艇・開発航空機 > 航空機/飛行艇 > 局地戦闘機 『天雷』
Nakajima J5N
ホーム
航空機/飛行艇
当時の大義関係なく、日本は結果的にアジアを解放したと思いますか?
投票結果

局地戦闘機 『天雷』
Nakajima J5N

2018/2/2 2019/10/12 航空機/飛行艇


(最大速度は計測高度によって変わります)
十八試局地戦闘機「天雷」
全 長 11.500m
全 幅 14.000m
全 高 3.610m
主翼面積 32.000㎡
自 重 5,390kg
航続距離 741km
発動機
馬力
空冷複列星型18気筒×2「誉二一型」(中島)
1,700馬力×2
最大速度 596km/h
武 装 20mm機関砲 2門(胴体)
30mm機関砲 2門(胴体)
60kg爆弾 2発
符 号 J5N1
連 コードネーム
製 造 中島飛行機
設計者 中村勝治

広告

誉と海軍の悪癖に巻き込まれ、開発断念 天雷


昭和18年/1943年2月、日本は激戦に次ぐ激戦に遂に根負けし、「ガダルカナル島の戦い」において撤退作戦を開始。
この「ケ号作戦」実施の一ヶ月前、海軍はアメリカが実用化に向けて着々と開発をしている「B-29」に脅威を感じていました。
太平洋戦争後期から続々と本土上空を飛び交うようになったこの「B-29」は、「超空の要塞」(ちょうそらのようさい)とまで言われ、高度8,500m以上の高高度から悠々と爆撃をすることができる代物でした。
昭和17年/1942年に陸軍が開発した「二式複座戦闘機」は、やがて「B-29」迎撃用戦闘機として、通称「屠龍」(龍=B-29を屠る)と呼ばれるようになります。
それほど「B-29」は日本にとって迷惑な存在だったのです。

一方海軍も、手持ちの戦闘機は単発機が大半で、開発の中心が双発機や四発機などの大型機に移行しつつあるアメリカの航空機に手を焼いていました。
現在の敵機の中心である「B-17」や「B-24」はともに四発機で、いくら日本の「零戦」や開発中の「紫電」などが高性能だとしても、堅牢強固なこの2機種や「B-29」の迎撃は心もとなかったのです。

そこで海軍は、この「B-29」を意識した局地戦闘機の開発に取り組みます。
「十八試局地戦闘機」(のちの「天雷」)は、中島飛行機に開発させることが決定しました。
この時点で「B-29」の性能をどこまで把握していたのかはわかりませんが、「天雷」に求められたのは「高速性」「重武装」「上昇力」の3つでした。
特に重武装については、相手が大型機であるため幅広く使われていた7.7mm機銃では焼け石に水です。
装備したのは30mm機銃と20mm機銃二挺ずつで、4門全てが機首側に取り付けられていました。
これは「閃電」同様、追い回す側に立つことを想定して火力を集中させるためでした。

しかし開発途中で、「夜間偵察機 月光」に装備されていた斜銃(コックピット付近から斜め上向きに銃身が出ていて、敵機の下側から銃撃ができます)が高評価を得たため、「天雷」の機銃も(おそらく20mm機銃が)斜銃に変更されています。

設計にあたった中村技師は、先ほども出てきた「月光」の開発にも携わっていたのですが、この時海軍の要求は過剰なもので、あれもこれもこなそうとした結果、いまいちパッとしない戦闘機として「月光」は完成してしまいました。
その教訓もあり、今回の「天雷」の開発においては、迎撃一本特化で設計されることになり、「月光」よりはゆとりある環境で設計が進められました。

機体は双発単座機とされ、エンジンは中島の「誉二一型」を二基採用することが決定。
速度は高度6,000mで667km/hと、最大速度470km/h足らずの「B-24」には簡単に追いつく速度が設定されました。
「B-29」も同じ四発機で、爆弾投下まではもちろん重量もありますからこの速度でも十分戦えると考えたのでしょう。
ちなみに当時の主力戦闘機の「F6F ヘルキャット」よりも速いので、速度面では遅れを取ることはなかったと思います。

続いて防弾性についてですが、日本の戦闘機にしては珍しく当初から各所に防弾装備が施されていました。
背面の防弾はなかったのですが、これは後方からの襲撃の可能性が本機の性能から見ても低いことや、あまりに硬すぎると前方から飛んできた弾がコックピット内で跳弾してかえって危険であることなどから、あえて採用していないと言われています。

一方で、防弾性を高めてしまうとどうしても重量が増えてしまうので、機体の設計では可能な限り軽量化を図り、またファウラー式二重フラップと前縁スラットを装備して高揚力性能を一層高めています。
加えて採用している「誉」は、2,000馬力の高出力だけではなく小型・軽量という大きなメリットもあるため、重量を抑えたい「天雷」には打ってつけのエンジンでした。

このように、これまでの航空機に比べるとまだ順調に開発が進んだ「天雷」は、計画から1年2ヶ月で試作機が完成しました。
ただ、搭載されている「誉」、このエンジンに苦しめられた機体はズラッと並びます。
「銀河」「流星」「烈風」「連山」などは、「誉」搭載を見越して設計され、その「誉」の不調によって活躍の機会を失いました。
「天雷」もまた「誉」のエンジン故障率の高さ、不調さに足を引っ張られ、計画を下回る計測値や不具合が多発します。

また、エンジンを覆っているエンジンナセルとフラップの気流が干渉し、無駄な空気の流れが発生して速度低下を招いてしまうナセル・ストールが発生することもわかりました。
この改善が思ったようにいかず、何度か修整をしましたが結局最高速度は597km/hに留まり、また上昇速度も6,000m/6分の要求に対して6,000m/8分と、こちらも要求を満たすことができませんでした。
さらに、開発中に海軍、特に技術畑ではない者の意見が追加でどんどん舞い込んできて、結局重量過多になり一層完成から遠ざかってしまいました。

ついには単座機に双発は不要という意見すら飛び交うようになり、「天雷」の居心地はどんどん悪くなります。
奇しくも「天雷不要論」とも言える双発単座機排除の流れが出てきたのは、「B-29」による空襲が徐々に本格化していた頃で、この空襲によって「誉」が製造されている武蔵製作所が爆撃、壊滅してしまいます。
敵味方双方ともから、強制的に「天雷」に当たれていた光を遮断されたのです。

昭和19年/1944年秋、「天雷」は開発機の絞り込み試験に通過することができず、正式に開発中止が下されました。
試作機6機のみが「天雷」として誕生しましたが、5号機、6号機は複座に改造されていました。
この後に開発が始まった「陣風」もそうですが、局地戦闘機は半数が「紫電・紫電改」に取って代わられ、後期開発組はほぼ実用化されることなく終戦を迎えています。
広告
管理人オススメ


超ワイド&精密図解 日本海軍艦艇図鑑 (学研ムック)
管理人オススメ


増補版 太平洋戦争通史 ―開戦決定から降伏調印まで一三七九日の記録―

管理人をフォローする

【アンケート結果】WW2・太平洋戦争時の海外最新戦艦と言えばどれが好き?
  • 【独】ビスマルク級(強靭な装甲 47口径38cm) 44%, 218 票
    218 票 44%
    218 票 - 全体の44%
  • 【米】アイオワ級(高速 めっちゃ長い 50口径40.6cm) 26%, 127 票
    127 票 26%
    127 票 - 全体の26%
  • 【英】キング・ジョージ5世級(四連装2+連装 45口径35.6cm) 11%, 56 票
    56 票 11%
    56 票 - 全体の11%
  • 【仏】リシュリュー級(四連装2基 前部集中 45口径38cm) 10%, 51 票
    51 票 10%
    51 票 - 全体の10%
  • 【伊】ヴィットリオ・ヴェネト級(欧州最強の主砲 50口径38.1cm) 9%, 45 票
    45 票 9%
    45 票 - 全体の9%
総投票数:497
2019年11月12日 - 2019年12月6日
投票は締め切りました

広告

最新の更新(艦船)

11/16更新

【千歳型水上機母艦】

を更新しました。

最新の更新(用語・情報)

10/21更新
エンジン・機関
(ガソリン、蒸気、ディーゼル)

を更新いたしました。
広告

あいうえお順

  • あ~お
  • か~こ
  • さ~そ
  • た~と
  • な~の
  • は~ほ
  • ま~も
  • や・ゆ・よ
  • ら~ろ・わ

検索

最近の人気ページランキング

  • 史上最大の最も実践的な上陸演習史上最大の最も実践的な上陸演習
  • 陸上爆撃機 『富嶽』<br><font size=4>Nakajima G10N</font>陸上爆撃機 『富嶽』Nakajima G10N
  • 長門【長門型戦艦 一番艦】<br><font size=4>NAGATO【NAGATO-class Battleship 1st】</font>長門【長門型戦艦 一番艦】NAGATO【NAGATO-class Battleship 1st】
  • 局地戦闘機 『陣風』<br><font size=4>Kawanishi J6K1</font>局地戦闘機 『陣風』Kawanishi J6K1
  • 赤城【航空母艦】<br><font size=4>AKAGI【Aircraft carrier】</font>赤城【航空母艦】AKAGI【Aircraft carrier】

カテゴリ一覧

トップ Top

戦艦 Battle Ship

航空母艦 Aircraft Carrier

重巡洋艦 Heavy Cruiser

軽巡洋艦 Light Cruiser

駆逐艦 Destroyer

航空機/飛行艇 Aircraft

潜水艦 Submarine

その他の艦船 Other Ships

写真 Photo
大日本帝国海軍 所属艦艇・開発航空機© 2019