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菊水作戦

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【菊水作戦】とは、いわゆる特攻作戦のことで、米軍の沖縄上陸とその進軍、そして制圧を阻止するために行われた。
菊水はかつて南北朝時代に朝廷側に立って足利尊湊川の戦いで戦った楠木正成の旗印である。
明治以後、楠木正成は敗北が決定的だった湊川の戦いで朝廷のために命を投げ打って戦いに挑んだ姿が修身教育に使われるほど尊敬されていた。

まず、特攻は通常の航空機を用いたものだけでなく、特攻用に開発された特攻兵器と呼ばれるものも存在する。
特攻は「菊水一号作戦」(坊ノ岬沖海戦)の艦艇出撃を除いて航空機で行われ、特攻兵器としては「桜花」ならびに練習機であった「白菊」が用いられている。
なお、当然ながら特攻機の護衛機も作戦に参加している。
【菊水作戦】は十回に渡って行われた。

特攻が初めて行われたのは10月25日の「サマール沖海戦」直後である。
神風特攻隊6機が同海戦に現れた艦隊を発見し、特攻を敢行。
【米カサブランカ級航空母艦 セント・ロー(護衛空母)】を撃沈させた他、4隻に損傷を負わせた。

日本にとって初めての特攻で戦果を残してしまったことが、未来ある若者の命をいたずらに奪うきっかけになったことは間違いない。
そして以後の特攻もそれなりの戦果をあげ続けたことが、作戦の継続と現在においても多くの論争を生み出す原因ともなっている。

着実にアメリカに被害をもたらしていた特攻であったが、それでもアメリカはいよいよ沖縄上陸を果たそうとしていた。
これをなんとしても阻止しなければならない日本は、海軍の残り僅かな戦力を集結させて、沖縄への片道だけの燃料を搭載させた【大和】と第二水雷戦隊を出撃させている。
「坊ノ岬沖海戦」もまた、敗北確実、万一生き残っても沖縄で浮砲台になる他にない運命であり、特攻であった。
そして同時に【菊水作戦】が実施されたのである。

以下に最小限ではあるが各作戦の実施日と戦果・被害を記す。
戦果は撃沈のみだが、撃破損傷は撃沈数の比ではない。

・「菊水一号作戦」「第一次航空総攻撃」「坊ノ岬沖海戦」
実施:4月6日~11日
撃沈:6隻
失われた特攻機:陸海軍合わせて355機

・「菊水二号作戦」「第二次航空総攻撃」
実施:4月12日~15日
撃沈:2隻
失われた特攻機:陸海軍合わせて185機

・「菊水三号作戦」「第三次航空総攻撃」
実施:4月16日~17日
撃沈:1隻
失われた特攻機:陸海軍合わせて165機

・「菊水四号作戦」「第四次・第五次航空総攻撃」
実施:4月21日~4月29日
撃沈:3隻
失われた特攻機:陸海軍合わせて115機

・「菊水五号作戦」「第六次航空総攻撃」
実施:5月3日~9日
撃沈:7隻
失われた特攻機:陸海軍合わせて125機

・「菊水六号作戦」「第七次航空総攻撃」
実施:5月11日~14日
撃沈:なし
失われた特攻機:陸海軍合わせて150機

・「菊水七号作戦」「第八次航空総攻撃」
実施:5月24日~27日
撃沈:2隻
失われた特攻機:陸海軍合わせて135機

・「菊水八号作戦」「第九次航空総攻撃」
実施:5月28日~29日
撃沈:1隻
失われた特攻機:陸海軍合わせて11機

・「菊水九号作戦」「第十次航空総攻撃」
実施:6月3日~7日
撃沈:1隻
失われた特攻機:75機

・「菊水十号作戦」「第十一次航空総攻撃」
実施:6月21日~22日
撃沈:3隻
失われた特攻機:45機

6月23日、沖縄本土で指揮を執っていた牛島満司令官が自決し、沖縄は陥落した。
それに伴い、【菊水作戦】も終わりを告げる。

この【菊水作戦】で特攻を行った数は陸海軍合わせて1,827機に上り、3,067名の命が散っている。
特攻が成功したのはそのうち255機とされ、アメリカ軍だけでも5,000人近い戦死者が出ている。
このように、特攻は成果が出てしまうのだ。
アメリカは特に小型艦艇が次々と沈められ、また一方で空母や戦艦にも被害が続出した。
沖縄本土上陸を果たしているにも関わらず、特攻機が飛び立つ九州に向けて【B-29】を差し向けたり、精神的・肉体的にも疲労が蓄積したレイモンド・スプルーアンス大将マーク・ミッチャー大将が、作戦中に指揮官から降りることになるなど、アメリカも【菊水作戦】に相当苦しんだ。

【菊水作戦】終了後、特攻の回数は減り続けた。
これはアメリカの本土上陸を迎え撃つための戦力温存であったり、機体不足による出撃制限などが影響している。

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