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【呂三十五型潜水艦】(中型)

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基準排水量 930t
水中排水量 1,447t
一番艦竣工日 呂号第三十五潜水艦
昭和18年/1943年3月25日
同型艦 18隻
全 長 80.50m
最大幅 7.05m
主 機 艦本式22号10型ディーゼル 2基2軸
最大速度 水上 19.6ノット
水中 8.0ノット
航続距離 水上 16ノット:5,000海里
水中 5ノット:45海里
馬 力 水上 4,200馬力
水中 1,200馬力

装 備 一 覧

備 砲 40口径7.6cm単装高角砲 1基1門
25mm連装機銃 1基2挺
魚雷/その他兵装 艦首:53cm魚雷発射管 4門
搭載魚雷 10本
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量産型二等潜水艦 評判は良くても働く場所が苛酷に過ぎた中型

2隻の竣工で終わっていた「海中六型」ですが、やがて「ロンドン海軍軍縮条約」の脱退によってこの制限はなくなり、再び海軍は大型潜水艦の増備へと方向転換をします。
しかし条約もあって当時の日本の潜水艦保有数は決して多くなく、またその建造速度も速くないために海軍は各建艦計画でどんどん潜水艦の建造を促し始めます。
その中には、「海中六型」で研究されていた戦時量産型潜水艦も含まれていて、これは昭和15年/1940年の「マル臨計画」で建造が決定します。
実は足りていないのは潜水艦だけではなく、魚雷艇や運送艦などの補助艦艇全般で、表舞台に立たないためにあまり光が当たりませんが、日本はこの補助艦艇が圧倒的に不足していました。

さて、量産型の「海中型」は単に「中型」と呼ばれ、この計画で9隻の建造が決定されます。
しかし「海中六型」が誕生してからすでに5年が経過し、設計段階からだと8年ほどが過ぎています。
これまでのノウハウが「海中六型」に上乗せされたため、「中型」「海中六型」をベースとするもののおおむね新設計艦として建造されることになります。

全長は「海中型」で初めて80mを超え、排水量も930tと一等潜水艦目前まで重くなっています。
これは機関更新も影響しており、この全長と新しく搭載された艦本式22号10型ディーゼルによって速度は19.6ノットにまでなりました。
兵装は13mm機銃が25mm連装機銃へ更新されたぐらいですが、「海中六型」の安定感は受け継がれており、また建造期間も1年半前後で竣工とそこそこ早く誕生しています。
しかし一番艦である【呂35】の起工日は昭和16年/1941年10月ですから、当然開戦には全く間に合っていません。

そんな中でいよいよ太平洋戦争が勃発し、日本は特に潜水艦配備数においては大きな不安を残したまま戦争に突入します。
そして全く新しい戦い方となった太平洋戦争では、想定していた潜水艦運用が全くできないことが発覚します。
艦隊に随伴しても敵艦隊とは遭遇しないし、広範囲に展開しても制空権が奪われていると逆にこちらが危険だしと、潜水艦は使い方を根本的に改めなければならなくなりました。

さらにレーダーとソナーの配備と発達によって潜水艦の住処は急に土足で侵入されるようになります。
追いつかない量産と次々沈没していく潜水艦を前にして、海軍はこれまで以上に潜水艦量産を急がせます。
「マル急計画」で12隻、「マル追計画」ではさらに15隻の「中型」の建造が求められました。

そして昭和18年/1943年3月にようやく【呂35】が竣工します。
以後だいたい1~2ヶ月に1隻が誕生していくわけですが、しかしすでに「中型」潜水艦が増備されたところで巻き返せる戦況ではありませんでした。
「中型」は性能も使い勝手もよく、現地では好評でした。
しかし戦う場所がすでに連合軍に支配されている以上、せっかくの航続距離も発揮できずに沿岸警備と哨戒任務をすることしかできませんでした。
ところがその任務も制空権が奪われていることから迂闊に顔は出せませんし、敵艦船を見つけてもレーダーで逆に炙り出されてしまいます。
「中型」は非常に窮屈な運用を強いられ、そして散っていきました。

「マル急計画、マル追計画」も破綻していきました。
12隻の建造計画は実際に竣工したのは8隻、さらに15隻中たった1隻しか竣工せず、最終的に「中型」は18隻の竣工となりました。
この後の「改マル5計画」では43隻の建造計画があり、「中型」建造計画の総数は79隻でした。
そして「中型」は次々と駆逐艦と哨戒機の餌食となっていき、生存艦はたったの1隻。
哨戒の他に輸送なども行っていましたが、「海中型」は総じて戦争では苦しい思いばかりを経験しています。

同 型 艦

呂号第三十五潜水艦 呂号第三十六潜水艦 呂号第三十七潜水艦
呂号第三十八潜水艦 呂号第三十九潜水艦 呂号第四十潜水艦
呂号第四十一潜水艦 呂号第四十二潜水艦 呂号第四十三潜水艦
呂号第四十四潜水艦 呂号第四十五潜水艦 呂号第四十六潜水艦
呂号第四十七潜水艦 呂号第四十八潜水艦 呂号第四十九潜水艦
呂号第五十潜水艦 呂号第五十五潜水艦
(二代目)
呂号第五十六潜水艦
(二代目)
潜水艦
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※1 当HPは全て敬称略としております(氏をつけるとテンポが悪いので)。

※2 各項に表記している参考文献は当方が把握しているものに限ります。
参考文献、引用文献などの情報を取りまとめる前にHPが肥大化したため、各項ごとにそれらを明記することができなくなってしまいました。
勝手ながら今は各項の参考文献、引用文献をすべて【参考書籍・サイト】にてまとめております。
ご理解くださいますようお願いいたします。