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零式艦上戦闘機二一型/三菱
Mitsubishi A6M2b(Zero)

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零戦開発物語零戦と戦った戦闘機達
零戦+防弾性-Xのif考察零戦と防弾性の葛藤

大前提として、型式の付番パターンを説明しておきます。
型式は2桁の数字で構成されますが、10の桁の数字が機体形状、1の桁の数字がエンジン型式を表します。
【三二型】の次が【二二型】になるのは、生産された順番ではなく、【二一型】の機体形状に【三二型】のエンジンが搭載されたためです。

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零式艦上戦闘機二一型

全 長9.050m
全 幅12.000m
全高(三点)3.525m
主翼面積22.438㎡
翼面荷重107.9kg/㎡
自 重1,754.0kg
正規全備重量2,422.2kg
航続距離全速30分+1,482km(正規)
全速30分+2,530km(増槽)
発動機/離昇馬力栄一二型/940馬力
上昇時間7分27秒/6,000m
最大速度533km/h(改修後)
急降下制限速度629km/h(改修後)
燃 料胴体:62ℓ(正規)+83ℓ(過荷重)
翼内:190ℓ×2
増槽:330ℓ
武装/1挺あたり弾数九七式7.7mm機銃 2挺/700発
九九式20mm機銃一号二型 2挺/60発
搭載可能爆弾30kgもしくは60kg爆弾 2発
符 号A6M2b
生産数三菱:740機
中島:2,821機

出典:
零戦秘録 零式艦上戦闘機取扱説明書 KKベストセラーズ 編:原勝洋 2001年
[歴史群像 太平洋戦史シリーズVol.33]零式艦上戦闘機2 学習研究社 2001年
零戦と一式戦闘機「隼」 イカロス出版 2019年


思わぬ強さから急いで製造が始まった【一一型】は、陸上戦闘機としてしか使えませんでした。
空母に乗せようとしたところ問題が多数あったため、あちこち手直しが始まります。

まずギリギリ乗るとはいえ斜めにしないとエレベーターに入りきらないのは問題でした。
なので両翼端をそれぞれ50cm上側に折れ曲がるように細工をしました。
ただ翼の先っぽだけちょっと折り曲げるというのは強度の問題があるので、このおかげで【二一型】の急降下制限速度は機体強度以上にかけられました。

続いてもちろん着艦フックです。
他にクルシー式を国産化した一式空三号無線帰投測定器が新たに搭載されました。
この測定器はアメリカのフェアチャイルド社のものを国産化した機械で、実はできたてほやほやの装置でした。

【二一型】の設計を固めている最中に下川大尉が亡くなった事故が発生しており(「零戦開発物語」参照)、この影響でバランスタブやマスバランスの有無などの違いが発生しています。
そして彼が残したもう一つの遺産が、まさかの速度アップでした。
【一一型】の最大速度が510km/hほどなのですが、これが同じエンジンで大幅な改修もしていないのに533km/hにまでなっています。
この謎を解くカギが、二階堂中尉が目撃したという主翼で発生した大きなシワでした。

あのシワは設計時の想定を上回る風力を受けて発生したもので、シワが原因で抵抗は増えるし気流も乱れます。
しかし主翼の強度を高めてシワが寄らないようになると、風の抵抗がなくなって速度が上がったのです。
強度と言うとどれぐらい厚くしたのかが気になりますが、僅か0.1mmです。
0.1mmというのは切手の厚みと同じです、これで効果あんのかよと思いますが飛んでビックリ25km/h増です。
重量はもちろん増えていますが、速度が落ちないための軽量化なので、速度が上がるんなら少々増えたところで何の問題もありません。

ちなみに最高速度がこんなに速くなったことが正式に記録として残されたのは昭和17年/1942年6月の【三二型】との競争の時ですから、改修するや否や海軍が「速度も上がった!」とは認識していなかったと思われます。
【二一型】と言えばもちろん昭和16年/1941年12月8日の「真珠湾攻撃」で艦載機として出撃。
同時に台湾からフィリピンへの長距離爆撃の護衛として連日登場します。
他国で知る者はほんとに一握りだった【零戦】の凄まじい強さが、この日を境に連合軍を震え上がらせることになります。
【一一型】【二一型】の違いは艦載機運用の改良と副次的な速度アップぐらいですので、暴れっぷりも【一一型】と同様。
スペック表の全速30分というのは空戦時間を想定されています。

開戦当時の生産速度はかなり遅く、月20機程度しか生産できない状態でした。
最終的に三菱の生産数は740機、対して中島では開戦直前の昭和16年/1941年11月から昭和19年/1944年5月までの間に計2,821機(差異あり)が製造され、【五二型】が現れるまで【零戦】の顔として戦い続けました。
中島製は生産ラインの関係から三菱の設計に若干の手が加えられていて、また塗装も使用塗料の違いなどから差がありました。
暗緑色に代わってからはかなり明確な違いがあり、胴体後部の灰色の面積が水平尾翼に向けて斜めに広くなっているのが中島、まっすぐのままなのが三菱です。
塗装の違い、その他にも各デザインはこちらのサイトで非常にわかりやすく説明がされております。

空のカケラ ライブラリ

※画像使用については規定を必ずご確認ください。

【二一型】は現地改造により複座・偵察機化した機体が存在します。
ラバウルの第二五三海軍航空隊が複数の破損した機体の部品を集めて複座化改造し、昭和20年/1945年1月までラバウルで活動していましたが撃墜され、その機体が昭和47年/1972年に引き揚げられました。
その他【二一型】をベースとして【二式水上戦闘機】が登場しているのはご承知の通りです。
他にも【二一型】を教練用に複座化改修した【零式練習用戦闘機(A6M2-K)】も存在しています。

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