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古鷹【古鷹型重巡洋艦 一番艦】
Furutaka【Furutaka-class heavy cruiser First】

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艦型と個艦の説明を分けましたが、単純に分割しただけなので表現に違和感が残っていると思います。
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死力を尽くして僚艦を守った、重巡一番艦の意地

開戦してからの【古鷹】の活躍ですが、いくら改装されたとはいえもう15年も前の船ですし、主力重巡に比べると2基も砲塔数が足りません。
戦隊を引っ張る役割もなく、ある意味誕生当初の目論見通り「強力な巡洋艦」という立ち位置で活躍します。

開戦当初はグアム島攻略に参加、その後も上陸作戦の支援として同行しますが、いわゆる海戦には巻き込まれませんでした。
昭和17年/1942年5月、「古鷹型、青葉型」で編制された第六戦隊はポートモレスビー攻略部隊に所属し、5月7日の「珊瑚海海戦」に参加します。
「珊瑚海海戦」では敵機襲来に対して貧弱な対空兵装で戦うという、空母護衛にはあまりにも非力な戦力だったために、【祥鳳】は2隻の大型空母【レキシントン、ヨークタウン】からやってきた航空戦力に徹底的に攻撃をされて沈没してしまいます。
翌日には本隊である機動部隊と合流し、【翔鶴】【瑞鶴】の護衛を行いますが、やはり艦隊戦でない限り「古鷹型」に出番はなく、燃え盛る【翔鶴】の横について離脱するしかありませんでした。
そしてこれにより、ポートモレスビー作戦も延期となってしまったのです。

整備後に【古鷹】はトラック島へ進出し、ソロモン諸島での泥沼の戦いに身を投じます。
8月7日にアメリカはツラギ・ガダルカナル島に上陸。
この報告を受けて急遽【鳥海】を旗艦とする挺身攻撃隊が編制され、ガダルカナル島にいる輸送艦隊の撃滅のためにラバウルを出撃します。
【鳥海】以外は旧式、特に司令官の三川軍一中将に対して直談判をして参加した【天龍、夕張】もいる中で長期戦は不利と考えた神重徳参謀は、「とにかくぶん殴ってとっとと帰るという」というシンプルな動きを徹底させます。
その結果、「第一次ソロモン海戦」はあまりに理想的な夜戦挟撃という形で、警戒していた連合軍部隊を壊滅させることに成功します。
敵重巡4隻撃沈、『重巡洋艦』をこの世に生み出した【古鷹】の本領発揮でした。
【古鷹】は敵味方含めて最古参の重巡でしたが、一歩も引かずに奮戦しました。

しかし本来の目的であった輸送艦隊の壊滅は、夜明けの空襲を恐れて中止され、海戦の勝利はあっても連合艦隊としてはかなり不満の残る出撃となりました。
さらに帰路につく艦隊を魚雷が襲い、妹の【加古】が残念ながら沈んでいます。

その後もガダルカナル島はアメリカの優勢を覆すことができず、日本は再三にわたりヘンダーソン飛行場の砲撃を行いますが焼け石に水でした。
闇夜に紛れて駆逐艦による高速輸送(鼠輸送)が頻繁に行われる中、10月11日夜、【古鷹】【青葉】らとともにガダルカナル島へ出撃していました。
そこにある艦影が見えてきましたが、旗艦【青葉】はそれを輸送任務中の【日進】【千歳】だと思って発光信号を話します。
しかしこれが敵影であったため、唐突に始まったのが「サボ島沖海戦」でした。
光源の【青葉】は瞬く間に集中砲火を浴び、21時48分、【古鷹】【青葉】を守るために探照灯を照らして【青葉】の前に強引に割り込みます。

【青葉】は初弾で五藤在知第六戦隊司令官らが戦死し、満身創痍の状態で命からがら逃げ抜きますが、そこに残ったのは【古鷹】ただ1隻。
すべての砲弾が【古鷹】を襲い、魚雷の酸素漏れによる大火災、被弾・被雷による浸水、機関室被弾、【古鷹】はあっという間に炎に包まれます。
そんな中でも【古鷹】は全く攻撃の手を緩めず、30発以上の砲撃を繰り出し、【米ブルックリン級軽巡洋艦 ボイシ】には3~4発を撃ち込んでいます。

【古鷹】が消えゆく命の炎を絶やさずに必死に反撃をしている中、【衣笠】【初雪】が反撃を開始。
【ボイシ】はかろうじて【衣笠】の雷撃を回避し、さらに両艦による砲撃戦が勃発します。
この戦いで【衣笠】【ボイシ】に対して4発の命中弾を記録し、この結果【ボイシ】は戦線を離脱しています。
続いて【ソルトレイクシティ】との砲撃も交えましたが、こちらはやがて双方見失った結果、戦いは終結しました。

【古鷹】は水線上だけでも90発もの砲撃を受けており、当初はまだ動くことができましたが、前述の水中被弾と被雷による浸水を止めることができずにどんどん傾斜していきます。
【初雪】が横付けしようにもゆっくりと傾く【古鷹】に寄り添うことはできず、短艇での往復救出を余儀なくされます。

やがて12日0時8分、【古鷹】は沈没。
この戦いでは同じく日本艦艇大躍進の象徴である【吹雪】も大爆発を起こして沈没しています。
【古鷹】以降は日本もアメリカも重巡洋艦の建造に力を注ぎましたが、それが正解であったことは紛れもなく【古鷹】が証明しています。

2019年5月6日、ポール・アレン創始の探査チームが海底に沈む【古鷹】の発見を発表しました。
船体は水平に近そうで、主砲をはじめ、機銃、高角砲、魚雷と、兵器がいずれもその形状がしっかりとわかる状態で沈んでいました。
この海戦で同じく沈没している【吹雪】は、爆沈といわれているので状態は悪いかもしれませんが、もしかしたら見つかるかもしれません。

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